初めて読んだのです。色川武大(ペンネームとしての読みはいろかわぶだい。本名はいろかわたけひろ)というのは、既に亡くなっている小説家です。
いろいろなペンネームで純文学だけにとどまらず、時代小説や、麻雀小説(!)を書いた人です。
麻雀小説の発明者として有名だそうです。
少年マガジンに連載されていた『坊や哲』は、色川さんの半自伝的な麻雀小説を原案として描かれたものです。(原作はさいふうめい)
それで、わたしが読んだのは『狂人日記』です。
これまた半自伝的ともとれる小説で、題名が示すとおりに様々な幻覚に悩まされる男を語り手としたものです。
主人公の家族のあり方や、第二次世界大戦中、疎開先で見た空を覆い尽くす巨大なもの。精神病院で出会う女性。
やがて主人公は病院で出会った女性と知り合うのですが……
こうして思い出すだけでも、もどかしさでバラバラになってしまいそうな小説です。
芥川龍之介の人間失格にはそれほどやられなかったのですが、この狂人日記にはかなり打ちのめされました。
これを十代の内に読んだりしていたら、人生に重大な疵が付いていたかもしれません。あるいは、ようやくわたしもこういったものが理解できるようになったということなのでしょうか。
北方謙三さんの言葉に「死にたくなったら読書百冊、うち二冊は太宰治。だが太宰は続けて読むなよ」というものがあるらしいですが、悩める青年が色川武大さんの小説を五冊も続けて呼んだら本当に危険です。
ダメ! 絶対!!
でも結局、あれも一興これも一興ですませることができる人とできない人っていうのは、努力では埋めることのできない分水嶺で分かたれているような気もします。
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- 2008/09/24(水) 23:45:09|
- 日記|
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