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- 2024/12/28(土) 15:11:30|
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▼目次▼ 1-2へ
少女は一人風見の塔の一番上で夜明けの空を見ている。
九十二段(この島に暮らす少女達の中で一番小さいヒビキは五百段はあると思っている)の階段を上りきると、水平線が見える。
この島には地球儀はないが、こうして見ているだけでも弧を描く水平線がこの星は球体なのだと感じさせる。
島で暮らす少女達の中で最年長である彼女も、島がこの星のどこに浮かんでいるのか知らない。
彼女は、涙と汗でごわごわになったジーンズで手を擦りながら寒さをこらえる。
一年を通して温暖なこの島でも、明け方に夜風をさえぎるもののないここにいれば身体は冷える。
右手の薬指の錆びた指輪を気にしながら少女は、夜明けの瑠璃色の汚すように広がる暗雲を見つめた。
この島は、なにかに守られているかのように嵐に襲われることはない。
雨はいつも少女達が起き出す前の早い時間に、眠りを妨げないように優しく降る。そして昼前にはあがる。
「また嵐が来るのかしら……」
過去に二度。この島は嵐に見舞われた。
その二度とも、嵐はこの島に大きな変化をもたらした。
「風見鶏さん、どうかしら?」
少女は足下のすっかり錆びて本来の用途を果たさなくなった青銅製の風見鶏を見つめた。
▼目次▼ 1-2へ